・共著『思春期サバイバル』好評発売中です(←この左横にある本です)。
季刊セクシュアリティにエッセイを書きました 
Synodosに記事を書きました 
・9月27日、大阪市淀川区で講演します
・10月に大阪で開かれるセクマイ支援全国大会で分科会やります。 
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記憶と情熱の新鮮なうちに記録をばシリーズ。 

スタディツアー1日目の様子はこちら:「LGBTとガン」 
スタディツアー2日目の様子,呂海舛蕁Аコミュニティセンター
スタディツアー2日目の様子△呂海舛蕁АNY大のセンター
スタディツアー3日目の様子,呂海舛蕁Аgoogleの社内グループ」 
スタディツアー3日目の様子△呂海舛蕁АLGBTの高齢者デイケア
スタディツアー4日目の様子,呂海舛蕁Аトランスの法的サポート
スタディツアー4日目の様子△呂海舛蕁АLGBTと依存症」 
スタディツアー5日目の様子はこちら:「LGBTと家族

さて、スタディツアー6日目は3団体を回るハードな日でした。

午前中には某大銀行のダイバーシティ・グループ(内容は省略)。午後の1軒目はLGBTの若者の自殺予防で著名な「the Trevor Project」にお邪魔した後、同性婚のアドボカシー(政策提言)をやってきたthe Marriage Equalityの事務所を訪れました。

順序は逆だけれど、先にMarriage Equalityの報告から。

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いやー、面白かったです。
最初は正直、「はぁ…同性婚かぁ」って思ってたんです。

自分は同性婚やパートナーシップ法が必要なのはわかるけれども、積極的にその運動にコミットすることは避けてきました。それは自分は日本にいて、LGBTの問題のなかでも同性婚やパートナーシップの問題にフォーカスしようとする人達が、ときに自分たちの「その問題」しか考えていないように思うことが多かったからです。貧困や「絶望」の渦中にある人達から、いかに「その問題」が遠く、疎外感をもって感じられるのか。あるいは「結婚=幸せ」というシンプルな価値設定が、いかにその価値観(いわゆるロマンティック・ラブ・イデオロギー)や「家族」に疲れ切った人達をがっかりさせるものなのかを、もう少し考えてほしいと思うことがとても多かったのです。

もちろんそうでない人も知っています。彼らなら、自分がいま書いていることを理解することができるはず。
同性カップルの法的保障は、本来は、「希望」を増やすための強力な方法のひとつだと思います。そういうアプローチをしてもらえるならいいのになーって、いつも思っています。

さて。上記のような価値観で、いわば私は半信半疑でこの問題を捉えていたのですが、この日出会った彼らは、高度に戦略的なアドボカシー団体でありながらも包括的な視点を強く打ち出していたのでした。

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お話をしてくれたのは、Marriage Equalityのブライアンさん。
彼らの団体では、一般の人たちむけの意識改革(教育)を行っていて、いろいろなキャンペーンや電話かけなどを行っています。

人が結婚しようとするときの理由には、

^Α Love)
家族 (Family)
かかわり (Commitment)
に‥保護 (Protection)


があり、い里澆法的保障によって達成されるとのことでした。LGBTの活動家たちは、それまでい砲个りフォーカスした話し方を運動の中でしていたのですが、どうやらそれでは一般の人たちからの共感を得られにくい(みんな法的保護のことを一番に考えて結婚するわけではなくて、家族になりたくて結婚することが多かったから)ことに気が付き、家族(Family)にポイントをおいた活動にシフトしていったそうです。

さらに彼は、一般的な話として、LGBTコミュニティの課題としてホームレスの若者や、トランスジェンダーのこと、いじめや自殺、雇用条件のことが深刻であることに触れた上で、これらの問題が解決されるべきだということ。さらには、この団体の次の目標として、全ての州で同性婚が可決された後には、

・Lived Equalityの追求
(Legal Equalityの逆で、本当に人間の心の中から生まれる平等の意識。法律だけが出来ても、生きやすい社会とは言えない。特にトランスジェンダーの扱い方における問題でこの考え方は重要とのこと)

・LGBT以外の問題へのコミット
(低賃金や移民問題、投票率の低さなど、LGBTとは直接関係のない問題へのコミット)

を考えている最中だと話してくれました。

これを聞いたら「同性婚って、どうせお金持ちの健康な白人ゲイの……」みたいなことは言えなくなりました。
ええ、なんでこんなにラディカルでありながら、同性婚のロビイングなんか出来るんだろう?
保守派の議員から嫌われたりしないの?

「コミュニティの中でも、どうせ白人ゲイの金持ちの話でしょ、みたいに言われていた。でも調査をすれば、僕たちはみんなが金持ちじゃないことはわかったし、同性婚の運動のリーダーの中にもトランスの人はいたよ。わからないことはたくさんあるし、僕もトランスのことは全然無知だった。それでも話し合う中で理解していったんだ。」

「僕たちの活動は80%は教育で、20%がロビイング。どの政党にも話しにいくよ。ただ、誰に話しにいくのかは選べるけどね。保守的な人に話しかけるためには、3つのポイントがあるんだ。
投票行動を変えなくても、宗教を変えなくてもいいし、”賛成も反対もしない”って立場でも大きな前進だと捉えている。いろんなステレオタイプを溶かして、実際に当事者に出会って、物語を聞いてほしい。そうしたら、きっと心や考え方が変わるだろうから。」

その3つの方法とは、

・同じことばを話すこと
・その人の持っている価値(Value)を尊重すること
・ちゃんとつながり、対話すること


だそうで、アメリカにおける保守派の価値の中では、「小さな政府」という考え方(プライベートなことには政府は首を突っ込むべきでないので、ゲイが愛し合うことまでは保守派は禁止しない)や、「金・ビジネス」(儲かることは正しいこと)、「黄金律」(目には目を、歯には歯。自分がしてほしいことを他人にもするべきだという考え方)が有効だったということでした。

こりゃ、戦略的にもすごく面白いな。

「家族を連れていくといいんだ。いじめられた子どもをつれていって、もしこれがあなたの娘だったら、どうですかと尋ねる。あるいは、もしあなたが結婚できる権利がなければどんな気持ちがしますか?って尋ねるんだ。」

法律を作ることは、現在のシステムでは多数決で勝たなければいけないということ。
法律を作ることは、線引をして、認められる「こちら側」と「あちら側」を産むこと。
それは数の論理であり、力の論理でもあり、「正義」では必ずしもない。政治は、血が流れない戦争だけれども、この社会で生活をするためには、法的平等はやはり必要。

その現実を見据えたうえで、無邪気さではなく、高度に洗練された手法を模索している彼の賢さに触れることができて、あぁニューヨークに来てよかったな、と思いました。