先日改定された「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」が画期的だと話題を呼んでいます。


すべてこれまでの表記にあった家族は「家族等」に変更されています。

「家族等とは、患者が信頼を寄せ、人生の最終段階の患者を支える存在であるという趣 旨ですから、法的な意味での親族関係のみを意味せず、より広い範囲の人を含みます(このガイドラインの他の箇所で使われている意味も同様です)。」

これをもって同性パートナーの扱いが大きく変わる/同性婚がなくても尊重されるといったブログもあったのですが、やや事実誤認される恐れもあるので整理したいと思います。

・以前から載っていた!

このガイドラインは2008年の策定されたのですが、実は2008年から同性パートナーの存在は考慮されていました。

(私は当時、署名など集めて働きかけていた一人でした)。

ガイドライン策定に関わられた樋口範雄氏『続・医療と法を考える 終末期医療ガイドライン』(有斐閣、2008年)には「法律上の婚姻関係にあるか否かではなく、実質的に患者を支えてきた人たちをここでは家族といっている。同性のパートナーももちろん含まれる」と記載されています。

当時からたたき台には「家族等」とあったんですが、完成版には「家族」に注釈で「家族とは法的な意味での親族だけでなく、患者が信頼を寄せている人を含む。なお、終末期を想定して患者にあらかじめ代理人を指定してもらっておくことが望ましい」と添えられていたんですよね。



・ガイドラインがあれば大丈夫?

今回わかりやすくなったのはもちろん前進ではありますが、課題としてはこれがあくまでガイドラインであること。あくまで目安なので、運用については現場判断によって左右されます。たとえば法的家族と同性パートナーの仲が悪い場合や意見が合わない場合にどうするのか、など、以前からの懸念は残ります。病院側か法的家族からの訴訟などを恐れているようです。

法的家族の優先という問題は、同性婚などの制度がないと100パーセントの安心はできないかもしれません。自治体によっては横須賀市など、公立病院での同性パートナーの平等な扱いを認めているところもあります。

医療上の意思決定は本人以外にはできない、たとえ家族であっても本来は認められない​とされています。よって本人の意思表示がわかる形で存在することが大事というのが前から言われてきました。法的家族ではないキーパーソンがいる場合には、カードなどにその人の連絡先を書いて携帯するなどの自衛が必要でしょう。

詳しくはNPO法人QWRCが策定した「LGBTと医療・福祉(改訂版)」5ページをご覧ください。


・ついでに

冒頭に取り上げたブログでは今回の前進は自民党特命委員会による成果とも読めますが、10年前にこの件で要望していた者として、最後にひとこと。

2008年は当時の社民党から厚労省への働きかけがありました。2008年当時は今と違って社民党ぐらいしかLGBTイシューで動いてくれるところはなかった中で、ガイドライン策定にあたった樋口先生たちが、当時から同性パートナーに対して「先見の明」をお持ちであったことは胸アツです。

あの頃にすでに動いてくれていた方達の恩は忘れてはいけないと思っています。

当時からすでに入ってたってすごくないですか?

2018年の改定にあたり自民党特命委員会の動きがどこまで反映された結果なのかは把握していませんが、以前から医療関係は患者本人の意思を尊重することが前提とされているわけで、本人の意思を事前に示しておくことの重要性がまた示されたのが今回の改定と言えるでしょう。

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